茶道家・保科眞智子が発起人となり、戦争遺産の古伊万里を300年ぶりに里帰りさせる「オーストリア・ロースドルフ城古伊万里再生プロジェクト(ROIP)」が発足しました。ヨーロッパの王侯貴族に愛された江戸時代の輸出用やきものが、その後、近現代の歴史の渦に巻き込まれたことは意外と知られていません。また、日本のやきもののデザインが、当時のジャポニスムといわれる流行をうみ、西洋磁器の誕生に大きく影響を与えたことも案外知れていません。
ウィーン近郊のロースドルフ城に所蔵されていた東西の陶磁器コレクションは、第二次世界大戦末期の混乱期にソ連軍の侵攻により壊滅的な破壊をうけました。一万ピース以上の陶片となった陶磁器を、城主ピアッティ家は平和のシンボルとして今日まで大切に守ってきたことを、2015年、オーストリア大使公邸での茶会にて城主夫妻と出会い知りました。その後、保科が発起人となり、有志が集い、このコレクションを再生させるROIPプロジェクトが発足(オーストリア大使館後援、日本オーストリア友好150周年事業)。
この度、ピアッティ家及びROIPが特別協力し、公益財団法人大倉集古館の主催により、海外初公開となる特別展『海を渡った古伊万里〜ウィーン、ロースドルフ城の悲劇」が開催されます。開会式にはオーストリア大使の御臨席を仰ぎ、平和と友情の証として再生したコレクションが公開されます。
ROIPプロジェクトでは「陶片をつなぐ」「歴史をつなぐ」「世界をつなぐ」をテーマに、産官学の垣根を超えて再生事業に取り組んでいきます。活動は日英バイリンガルで行い、海外へも発信して参りますので、ぜひともご支援を宜しくお願いいたします。ROIP公式ウェブサイトはこちら。
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